法定相続人が確定した後は、相続財産を特定する必要があります。これは、どの財産が遺産に含まれるかを明確にし、相続人がそれぞれ何を受け取るかを決定するための基礎となります。遺産には、不動産や金融資産、動産、負債などが含まれます。
2-1. 金融資産の確認
まず、金融機関における取引口座の残高証明書を取得することが重要です。被相続人がどの金融機関と取引をしていたかを確認するためには、過去の通帳やクレジットカードの利用履歴、口座引き落としの明細などを手がかりに、該当する金融機関に残高証明書を請求します。
残高証明書は、相続開始日時点での預貯金残高を証明する書類であり、遺産分割協議における重要な資料となります。また、被相続人が株式や投資信託を保有していた場合は、証券会社に口座の明細書や評価証明を依頼する必要があります。
さらに、生命保険金や退職金の有無も確認が必要です。これらは、相続財産としてではなく、保険金受取人に直接支払われるものですが、相続税の課税対象となるため、遺産分割に影響を与える可能性があります。
2-2. 不動産の確認
次に、不動産については、固定資産税評価証明書を取得する必要があります。この証明書は、市町村役場で取得でき、相続財産に含まれる不動産の評価額を確認する際に使用します。
また、登記簿謄本も確認しましょう。登記簿謄本を確認することで、被相続人名義の不動産がどこにあり、どのような権利が付いているかを把握できます。特に、抵当権や地上権が設定されている場合、相続後の財産処理に影響を与えるため、事前に確認しておくことが重要です。
2-3. 負債の確認
遺産には、資産だけでなく負債も含まれます。負債の確認を怠ると、相続後に思わぬ負債が発覚し、相続人が困ることになります。被相続人がどのような借入れをしていたかを確認するために、銀行や消費者金融、クレジット会社からの借入れ状況を調査しましょう。
また、住宅ローンが残っている場合は、団体信用生命保険に加入していたかを確認します。この保険に加入していた場合、被相続人が亡くなった時点でローンの残高が保険によって清算されることがあります。
3. 遺産分割協議を進めるために
これらの「法定相続人の特定」と「遺産の特定」が終わった段階で、ようやく遺産分割協議を進めることができます。相続人全員が揃って、相続財産をどのように分けるかを話し合い、合意が得られたら遺産分割協議書を作成します。この協議書には全ての相続人の署名と実印が必要です。
もし相続人の間で意見が一致しない場合は、家庭裁判所での調停手続きや審判手続きに移行することになります。そのため、遺産分割協議を円滑に進めるためにも、相続開始前に遺言書を作成しておくことが望ましいと言えます。
4. 専門家のサポート