相続の相談でいちばん多い失敗は、
「税理士に行ったら登記の話ができず、司法書士に行ったら税金が分からない」ことです。
“争族”は資産家だけの問題ではない|普通の家庭ほど相続で揉めやすい本当の理由

「うちは財産なんてないから揉めません」
相続相談で、とてもよく聞く言葉です。
しかし、司法書士として現場を見ていると、
相続で揉めるかどうかは、"財産額"では決まりません。
むしろ、
"普通の家庭"ほど相続トラブルが起きる
ケースも少なくないのです。
実際、相続争いは、
「大地主」「資産家」「莫大な財産」
だけの話ではありません。
例えば、
- 実家しか財産がない
- 子ども同士の関係に温度差がある
- 親の介護負担が偏っている
- 県外に住む兄弟がいる
- 遺言がない
こうした家庭ほど、
"感情"が原因で揉める
ことがあります。
今回は、
なぜ"争族"は普通の家庭でも起きるのか?
について、香川県・徳島の地域事情も踏まえながら、司法書士の実務視点で解説します。
目次
1.相続トラブルは資産家だけの問題ではない
2.なぜ"普通の家庭"ほど揉めやすいのか
3.香川県・徳島で多い相続トラブルの特徴
4.本当の原因は「財産額」ではなく"不公平感"
5.争族を防ぐために今できること
6.未来設計で家族関係を守るという考え方
7.まとめ|相続で一番守るべきものとは
1.相続トラブルは資産家だけの問題ではない

まず結論から言うと、
相続トラブルは、財産が多い家庭だけの問題ではありません。
むしろ、
「財産が少ないから揉めない」は誤解
です。※上記資料では、5000万円以下での事件が80%を占めます。
なぜなら、相続で揉める理由は、
"金額"ではなく"納得感"
だからです。
例えば、
相続財産が実家だけだった場合、
「売るのか」
「誰が住むのか」
「誰が固定資産税を払うのか」
という問題が起きます。
預金のように簡単に分けられないため、
小さな不満が大きな対立に発展することがあります。
つまり、
相続は"お金の問題"というより、"人間関係の問題"
なのです。
2.なぜ"普通の家庭"ほど揉めやすいのか

では、なぜ普通の家庭ほど揉めやすいのでしょうか。
理由はいくつかあります。
(1)実家しか財産がない
地方では、
「主な財産=実家」
という家庭が少なくありません。
しかし、
不動産は平等に分けにくい財産です。
例えば、
長男が実家に住む場合、
他の兄弟は、
「自分は何ももらえない」
と感じることがあります。
逆に、
売却するとなれば、
「親の家を売るのか」
という感情問題が起こります。
つまり、
分けにくい財産ほど揉めやすい
のです。
(2)介護負担の偏り
実際の相談で非常に多いのが、
"介護格差"
です。
例えば、
近くに住む子どもが親の介護をしていた場合、
県外に住む兄弟との間で、
「自分ばかり苦労した」
という感情が残ることがあります。
法律上は平等でも、
気持ちは平等ではない。
これが相続トラブルの難しさです。
(3)親の本音が見えない
遺言もなく、
生前の話し合いもない場合、
子どもたちは、
「親は本当はどうしたかったのか」
が分かりません。
すると、
それぞれが、
「親はこう思っていたはず」
と考え始め、
対立につながることがあります。
3.香川県・徳島で多い相続トラブルの特徴

香川県・徳島では、
地域特有の相続問題もあります。
例えば、
(1)空き家問題
子ども世代が県外へ出ているケースが増えています。
そのため、
親が亡くなった後、
実家が空き家化
することがあります。
しかし、
「誰が管理するのか」
が決まらず、
放置されるケースも少なくありません。
(2)農地・先祖土地問題
地方では、
農地や山林が残っていることがあります。
しかし、
使い道がなく、
「いらない」
と言われるケースもあります。
一方で、
誰かが維持管理を続けていると、
「負担だけ押し付けられている」
という不満につながることがあります。
(3)"長男だから"問題
地方では今も、
「長男が継ぐもの」
という価値観が残る家庭があります。
しかし、
他の兄弟が納得していなければ、
不満が蓄積することがあります。
昔の常識が、
今の相続では通用しないこともあるのです。
4.本当の原因は「財産額」ではなく"不公平感"

ここが最も重要です。
相続で揉める最大原因は、
"不公平感"
です。
例えば、
金額が同じでも、
「説明があったか」
「感謝があったか」
で納得感は変わります。
逆に、
財産が少なくても、
「親の意思が明確」
だった家庭は揉めにくい傾向があります。
つまり、
相続で本当に重要なのは、
"公平"より"納得"
なのです。
そのためには、
元気なうちから、
親の意思を共有すること
が重要になります。
5.争族を防ぐために今できること

では、どうすれば争族を防げるのでしょうか。
完璧な準備は必要ありません。
まずは次の3つです。
(1)家族で話す
最初から深刻に考える必要はありません。
「実家をどうしたい?」
程度の話からでも十分です。
(2)遺言を検討する
遺言は、
親の意思を形にする手段です。
ただし、
作るだけで終わりではなく、
"なぜその内容なのか"
も大切です。
(3)専門家へ早めに相談する
相続は、
法律だけではありません。
家族関係、不動産、税務などが絡みます。
だからこそ、
揉める前の相談
に価値があります。
6.未来設計で家族関係を守るという考え方

私たちが考える
「未来設計(相続・生前対策)」
とは、
財産を分ける話だけではありません。
本当に大切なのは、
家族関係を守ること
です。
相続後に、
兄弟が絶縁状態になる。
これは、
誰も望んでいないはずです。
だからこそ、
遺言、認知症対策、家族会議、空き家対策などを、
"家族ごとに設計する"
ことが重要なのです。
7.まとめ|相続で一番守るべきものとは

相続で本当に守るべきものは、
財産だけではありません。
むしろ、
家族関係こそ守るべき財産
なのかもしれません。
相続トラブルは、
資産家だけの問題ではありません。
普通の家庭だからこそ、
"話していなかった"
ことが原因で揉めるケースがあります。
だからこそ、
元気な今から考える。
それが、
未来設計の第一歩なのです。
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