【なぜ相続は揉めるのか⑤】介護した人としていない人|相続で生まれる不公平感の正体

2026年07月31日

前回は、

「長男・長女問題は終わっていない」

というテーマで、家族の中に残る役割意識についてお話ししました。

その中でも特に相続トラブルにつながりやすいのが、

介護の負担

です。

相続相談の現場では、

「親の介護は私がしてきた」

「何もしなかった兄弟と同じ相続分なのか」

という声を耳にすることがあります。

一方で、

「介護できなかった事情がある」

という兄弟もいます。

今回は、相続で最も感情がぶつかりやすいテーマの一つである、

介護した人としていない人

について考えてみたいと思います。

目次

  1. 介護は相続争いの火種になりやすい
  2. 介護した側の言い分
  3. 介護していない側の言い分
  4. 法律と感情は一致しない
  5. 「やって当たり前」が不満を生む
  6. 介護負担を相続問題にしないために
  7. まとめ

1. 介護は相続争いの火種になりやすい

相続で揉める原因として、

不動産

預貯金

生前贈与

などが挙げられます。

しかし実際には、

介護に対する評価

が争いの背景にあることが少なくありません。

介護はお金だけでは測れないものです。

時間。

労力。

精神的負担。

仕事への影響。

こうしたものが積み重なります。

そのため、

「介護した苦労を分かってほしい」

という感情が生まれるのは自然なことです。

2. 介護した側の言い分

介護を担った人は、

親の通院に付き添い、

買い物を手伝い、

時には仕事を調整しながら生活を支えてきました。

そのため相続の場面になると、

「私だけが負担を背負った」

という思いが出てきます。

特に長期間の介護だった場合、

人生設計そのものに影響が出ることもあります。

昇進を諦めた。

転職を断念した。

結婚や子育てに影響した。

こうした経験がある方にとって、

相続だけ平等と言われても納得できないことがあります。

3. 介護していない側の言い分

一方で、介護をしていなかった兄弟にも事情があります。

遠方に住んでいた。

仕事が忙しかった。

自分自身の家庭を抱えていた。

経済的な支援をしていた。

こうした事情がある場合も少なくありません。

そのため、

「介護は感謝している」

「でも財産は親のものだ」

と考える人もいます。

本人に悪意はありません。

しかし介護した側から見ると、

理解してもらえていないように感じることがあります。

4. 法律と感情は一致しない

法律には、

寄与分

という考え方があります。

亡くなった方の財産維持や増加に特別な貢献をした場合には、

相続分に反映される可能性があります。

しかし現実には、

寄与分が認められるハードルは決して低くありません。

また、

法律上認められたとしても、

感情が解決するとは限りません。

相続で難しいのは、

法律問題と感情問題が同時に存在することなのです。

5. 「やって当たり前」が不満を生む

介護問題で最も大きな原因の一つは、

感謝が言葉になっていないことです。

介護した人は、

「家族だから当然」

と言われることがあります。

しかし、

当然と思われるほど苦しくなることがあります。

誰でも、

努力や苦労を認めてもらいたいものです。

だからこそ、

生前から

「ありがとう」

を伝えることが大切です。

その一言があるだけで、

将来の不満が大きく変わることがあります。

6. 介護負担を相続問題にしないために

介護と相続を切り離して考えることは難しいかもしれません。

しかし、

何も準備しないまま相続を迎えると、

感情の対立が表面化しやすくなります。

そのため、

  • 親の意思を共有する
  • 家族で介護の状況を共有する
  • 遺言書を作成する
  • 財産の考え方を伝える

といった準備が重要になります。

相続対策とは、

亡くなった後の対策ではありません。

家族が元気なうちに行う対話の積み重ねなのです。

7. まとめ

介護した人としていない人の対立は、

相続争いの大きな原因の一つです。

その背景には、

  • 介護負担の違い
  • 感謝不足
  • 公平感の違い
  • 法律と感情のズレ

があります。

相続は単なる財産分配ではありません。

家族の歴史や関係性が表れる場面でもあります。

だからこそ、

介護の問題を先送りにせず、

家族で共有しておくことが大切です。

次回は、

「実家を継ぐ人、継がない人」

というテーマで、不動産相続がなぜ兄弟姉妹の対立につながるのかを考えてみたいと思います。

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