令和5年度司法書士試験の日(受験体験の話)

2023年07月02日

本日、令和5年7月2日は、令和5年度の司法書士試験の日です。学習がうまくいってない方や、司法書士試験をこれから目指される方向けに、私自身の受験時代のお話をしたいと思います。5年前の全く未経験者だった私が、専門家への道をどのように勝ち取ったのか、少しでも参考になればと思います。

目次

1.司法書士への入り口

2.行政書士試験のチャレンジ

3.独学の限界

4.民法改正によるモチベーション阻害

5.予備校受講でわかった自分の記憶領域の使い方

6.定着記憶の補強作業としての「自己プレゼン」

7.予備校3回目の受講で考えたこと

8.まとめ


1.司法書士への入り口

 司法書士を目指し始めたのは、ずいぶん前の話になります。行政書士と司法書士の登録をするときに「履歴書」なるものを作成するのですが、書いていて2016年8月から資格の勉強に入っていたことを改めて知りました。

 始めて学習する法学なので、勉強のやり方なんて全く分からなかったのですが、とある司法書士事務所の補助者募集の面談の時に「君なら、行政書士だったら受かると思うよ。」と言われ、とっさに「私は司法書士を目指しているんです。絶対に司法書士になって見せます。」と言ってしまいました。今考えると何言ってるんだか、と思えるのですが、実力はないもののその気力だけは大きかったんでしょう。当然落とされましたよ(笑)。

2.行政書士試験のチャレンジ

 そうしたらやることは一つで、「行政書士を合格すること」が一つ目の目標となりました。とはいうものの、面談が8月で落とされたのがお盆前だったと記憶しています。行政書士の試験は11月中旬。実質3か月ほどしか時間はありませんでしたが、自己流ですが民法、会社法は始めていたので、勝負をすることにいたしました。

 このとき戦略を立てました。やみくもに勝負しても期間が短いことと、法律の勉強方法がいまだ確立していない状態での戦いになりますので、細かな点は実際に学習しながら修正をかけることにしました。

(法学択一9割作戦)

 ①法学択一で9割得点すること

 ➁法学の記述については水物なので20点でもOK(3問60点満点)

 ③一般知識は足きりに合わない程度に

 上記3つの要件がそろえれば、180点は超えてきます。

 すでに、仕事を辞めていた私は、これだけに時間を費やしました。時間だけ費やすのではなく、様々なやり方で法学の知識の定着度合いを測っていきました。一番は、ネットで出ている過去問を解説ごと取り込み、エクセルで一覧を作り、ひたすら繰り返して解き覚えていくというもの。行政法はこの手法でかなり身につきました。

 問題は判例です。一番苦労しましたが、判旨について通常考えたら「理由」→「判決」だと考えていましたが、じつはここが大きな間違いであったことに後の司法書士の学習の時に気づかされます。(何が悪かったのかきづいた方は、憲法の学習は良くされていると思います。)

 行政書士試験の結果は、法学択一約9割弱、記述22点、一般は約半分でした。得点は192点、合格でした。

3.独学の限界

 行政書士試験の短期一発合格を経て、法学の学習方法を習得できたと勘違いしていた私は、この後2年間、独学の沼でもがき苦しむことになります。

(少し試験内容について触れておきます)

 司法書士試験は、午前択一・午後択一記述で、11科目で構成されています。

 法律の範囲は、憲法・刑法・民法・会社法・民事訴訟法・民事執行法・民事保全法・供託法・司法書士法・不動産登記法・商業登記法です。記述は、不動産登記法・商業登記法の2問となっております。午前の憲法・刑法・民法・会社法については、択一問題で2時間が割り当てられています。午後は、それ以外の科目の択一問題と記述が2問と盛りだくさんで3時間が割り当てられています。

 午前は比較的ゆとりがありますが(内容によってはゆとりが無くなることもあります)、午後は記述との時間配分で、択一に1時間ほどしか時間をとれません。記述は、そのまま法務局に申請を出せば、登記ができてしまうレベルです。即死事項も含まれており、かなりやりこまないと時間的余裕は全くないと言っていいでしょう。もうお分かりのように、実務ベースの試験なんです。

(試験内容終わり)

 司法書士試験の約6割は、過去問題から焼き直しされているということを聞いていましたが、午前・午後共に21点でピタリと止まってしまいました。現状の学習方法では、これ以上行きませんでした。2年目で、これを繰り返せば永遠に合格できないと判断した私は、予備校の講義を受講することを決心します。

 この時、高松管区での合格者が、2名→翌年0名といった状態でした。2名の合格者の時に2名ともLECを受講していたことを知り、高松LECを訪問し、内容を聞いて「実践力Power Up講座(海野貞子先生)」の講義を受講することにしました。

4.民法改正によるモチベーション阻害

 予備校の講義1年目、「民法改正」の話が出ていました。つまり、今年頑張って合格しても、翌年民法改正が決まっているということなのです。複雑な気持ちにはなりましたが、法律の学習方法をきっちり習得していれば、新しい民法にも絶対対応できると思い、第一目標として「法律学習方法の習得」を掲げて、約1年間やっていきました。

 午前26問・午後23問・記述32点だったと思います。基準点はどれも超えていましたが、総合で不合格でした。

5.予備校受講でわかった自分の記憶領域の使い方

 司法書士試験は11科目ととても多く、つながりの濃いものとそうでないものがあります。独学時代はごった煮の状態で対応してましたので、知識が断片化され、別の知識とくっついて誤った知識を形成していることもありました。予備校受講時代に入って、その辺りはクリアしつつありましたが、にわか知識と定着している知識があることがわかり、その違いについてどのようにマネジメントしていけばいいのかを考えていきました。

 LEC受講生ならわかっていただけると思うのですが、1月から実力養成編という模試が始まります。これは、各科目の範囲指定で、いわゆる中学の定期試験のような模試になります。その後、4月からファイナル模試が始まります。これは、午前・午後の実際の試験を想定したいわゆる横断整理的な模試になります。最後に6月に統一模試があり、実戦さながらの問題が出てきます。

 受験時代、塾講師の経験があり、自身もいろいろ生徒たちの点数を上げることに苦慮してきましたので、自分自身の知識の定着度合いを測りながら2回目の予備校受講を始めました。通常、短期記憶と長期記憶でお話をされる方が多いのですが、私の場合次の3種類になります。(完全に私の私見)

 ①短期記憶:一度は覚えられるが、時間経過でどんどん忘れてしまう知識

 短期記憶は、中学の定期試験と同じで1週間の予備期間中に学習し試験をします。しかし、1週間後同じ試験をしても、おそらく同じ点数は取れないでしょう。なぜなら、反復継続の訓練期間があまりにも短いためです。体感的に3日から1週間で消えてしまう知識です。

 ➁長期記憶:ある一定の期間反復継続の暗記である程度定着した知識

 長期記憶は、中学受験の夏休みに反復継続して今まで学習した内容をまとめテキストを使って繰り返し勉強して定着させていきますよね。そうすることで模試なんかの試験には対応できるようになってくると思います。しかし、横断整理的な問題の対応は半分ぐらいしかできないと思います。

 この記憶の特長は、中途半端に消えることです。短期記憶は触れない期間が長いときっちり消えてくれますが、長期記憶の場合、残留物的な記憶が残る場合が多いです。残るだけならいいのですが、これが、新たに学習した知識とくっついて「わけのわからない記憶」が形成される可能性が非常に高いです。最も注意すべき記憶となります。

 体感的には、2週間ぐらい反復継続して学習したときに長期記憶になると思います。しかし、2週間から1か月放置しておくことで、残留記憶になります。

 ③定着記憶:長期記憶をうまくマネジメントすることで、完全な記憶にしていきます

 内容だけ見ると唯一無二の記憶のように見えるかもしれませんが、この定着記憶も1か月から2か月触れていないと忘れます(笑)。

 しかし、長期記憶と異なる点があります。それは、少し学習すると完全に思い出せる点です。つまり、残留物状態ではなく、単純に忘れているだけなんですよね。だから、時間がたっても全体の形は残っています。

 2年目の予備校は、同じく「実践力Power Up講座(海野貞子先生)」を専攻しました。しかし、コロナで試験日が延期。完全に調子を崩されました。私が司法書士を目指したのは、「年をとっても手に職を付けて死ぬまで働きたいから」です。当時、コロナは得体のしれないウイルスでした。試験会場で模試を受けるという気持ちにはどうしてもなれず、2回目も惜敗でした。

6.定着記憶の補強作業としての「自己プレゼン」

 定着記憶がストックされ始めますと、他のつながりなんかが見え始めてきます。そこで、これらを強固にするために「自己プレゼン」をすることを私は毎日1時間から2時間程度行っていました。いわゆる、今でいうところの法律相談業務に対応するための知識のストックだと思いますが。どんな質問にも、ある程度の根拠をもって答えられるようにしておかないとだめですからね。

 この「自己プレゼン」かなり強力です。はじめのうちは、たとえば憲法の論点だけであるとか、刑法の論点だけと範囲が小さい状態で行っていきますが、民法、会社法、不動産登記法、商業登記法なんかは範囲が広く、かつ実務で密接に関連する事項が多いことから、暗記した知識の深堀作業(範囲を広げていくという意味)には、適しています。

 当時、私はアパートのベランダで、ぶつぶつつぶやきながら「自己プレゼン」していましたが、近所から苦情が来るようになったので、自室でするようになりました。

 今も、法律相談なんかで相談された内容を精査しながら、次回来訪時にサービスの確定をするため、相談者の方に納得してそのサービスを受けてもらうために、時々事務所でやってます。法律相談の事前予約で、解っている情報から「自己プレゼン」で一方的ではなく、客観的にこれなら大丈夫という形に仕上げていきますので、やはりトレーニングが必要です。

7.予備校3回目の受講で考えたこと

 予備校の3回目の受講は「択一ターゲット攻略講座(根本正次先生)」です。なぜ実践力にしなかったのかというと、良くなかったというわけではなく、もうこれ以上、同じ視点から司法書士試験を見ても得られるものが少ないと考えたからです。視点を変えることで、今まで理解がおぼろげだったものがはっきり見えてくることもあると考えたからです。

 実際、講師を変えていろいろ見え方が異なってくるものもありましたよ。

 特に、この年には、ZOOMを使ったリアルタイム受講がはじまり、毎回必ず受講していました。配信を選択すると、予定が優先されて、結果学習が遅れることもありましたからね。

 最終的に令和3年度には、午前33問・午後32問・記述58点の総合4位で合格することができました。合格は確信していましたが、ミスもあったのに4位であったことに驚きました。と同時に、即独の気持ちが強くなってきました。

8.まとめ

 司法書士試験ほど実務の知識を要求される試験はないでしょう。記述なんて、もろそうじゃないですか。ですが、結構時間はかかりましたが、チャレンジして本当に良かったと思っています。なにより、自信が付きましたよ。

 そろそろ、3月も中旬に入ってきていますが、今まで努力してきたことを5に書いた3パターンの知識のどれにまで高められていますでしょうか?➁③が多いほど、4月から飛躍的に伸びます。あきらめずに最後まで頑張ってください。

※6年前に補助者面接をしていただいた先生には、「司法書士になれました。あの時は大口叩いてすみませんでした。」と独立後、謝罪に行きました。(笑)

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