2.改正不適合物件の相続登記手続き
司法書士が登記申請をする場合、「オンライン申請」と「書面申請」を選択することができます。しかし、登記手続きの対象不動産が改製不適合物件である場合、オンライン申請を選択して手続きをすることができません。そのため、書面申請の方法で登記手続きをすることになります。
書面申請については、業務用ソフトで申請書自体は作成可能なのですが、電子申請と作法が異なってきます。電子申請は、申請情報に電子署名をすることとなりますが、書面申請の場合、少々作法が変わってきます。
「司法書士は,申請書の末尾又は欄外に記名し,職印を押さなければならない(司法書士法施行規則第28条第1項)」を忘れずに実施いたしました。
また、登記手続きが終了した場合、「登記識別情報」が発行されるのが通常ですが、この改正不適合物件の登記の場合、登記申請書の写しに登記済の印の押された登記済権利証が発行されます。
3.改正不適合物件の書面申請の添付書類
添付書類の中で「申請書副本」が必要になります。電子申請しても、書面申請しても、登記完了後に「登記識別情報」が発行される場合には、この「申請書副本」は必要ありませんが、今回の改正不適合物件については、登記申請書の写し(申請書副本)に登記済の印の押された登記済権利証が発行されますので、その登記済印を押印する「申請書副本」が必要となります。
改正不適合物件の登記について、書面申請が必要な点と、この申請書副本の添付も必要になる点が、ポイントとなります。
4.まとめ
まとめますと、改正不適合物件が相続財産に含まれている場合には、登記簿はその物件を管轄している法務局でしか登記簿謄本を取得できない点。また、相続登記申請に関しても、改正不適合物件については、書面申請のみで行わなければならないこと、およびその書面申請には、「申請書副本」も添付しなければならない点が、一般の相続登記申請と異なる点となります。
ちなみに、今回の相続登記につきましては、電子申請できる物件については、電子申請を実施し、その後、改正不適合物件についての相続登記を実施いたしました。電子申請が終わり、登記簿謄本をオンラインで取得するためにデータを作成して送信したのですが、誤って改正不適合物件のデータを送信してしまいました。その時、すぐに却下のステータスがたちました。他の司法書士の記事を見ますと、申請書をオンラインで送信した方もいらっしゃいましたが、受付はされるものの、その後却下になったそうです。
相続登記を多数手がけますと、このような場面に遭遇することもあるかもしれません。情報共有として、今回の記事を残します。