相続の相談でいちばん多い失敗は、
「税理士に行ったら登記の話ができず、司法書士に行ったら税金が分からない」ことです。
夫婦間における持戻しの免除の意思表示推定規定について

遺産分割において、長年連れ添った配偶者に生前贈与した財産について、相続財産の修正である特別受益として「持戻し(生前贈与でもらった財産の価額を相続財産に組み入れること)」をしてしまうと、生前被相続人の気持ちを考えると、「持戻しはやめてほしい」と推定して、持戻しの免除の意思を推定する民法の規定が2019年7月1日の民法改正で設けられました。この点について、今回は解説していきます。
目次
1.民法903条第4項規定
2.最判平8.12.17判例について
3.配偶者の権利の保護という観点
4.まとめ
1.民法903条第4項規定
「(民法903条第4項)
婚姻期間が20年以上の夫婦の一方である被相続人が、他の一方に対し、その居住の用に供する建物又はその敷地について遺贈又は贈与をしたときは、当該被相続人は、その遺贈又は贈与について第1項の規定を適用しない旨の意思を表示したものと推定する。」
上記規定の要件は、
①婚姻期間が20年以上の夫婦であること。
➁①の夫婦の一方である被相続人が他の一方に対する遺贈又は贈与であること。
③遺贈又は贈与の対象物が、居住の用に供する建物またはその敷地であること。
持戻し免除推定規定では、婚姻期間・遺贈、贈与の対象物について制限を設けています。
※推定規定とみなし規定の違い
推定規定は、裁判になった場合に推定はされるものの、相手方の証拠などにより覆る可能性がある規定です。一方、みなし規定は、裁判になった場合でもみなされますので、相手方の証拠などにより覆ることがありません。
2.最判平8.12.17判例について
「(最判平8.12.17)
共同相続人の一人が、相続開始前から相続財産である建物に被相続人と同居していた場合、特段の事情のない限り、当該相続人と被相続人との間に相続開始後も遺産分割があるまでは、無償で衣装させる旨の合意があったものと推定される。そこで、被相続人の死亡時から少なくとも遺産分割終了までの間は、被相続人の地位を承継したほかの相続人等が貸主になり、当該同居の相続人を借主とする使用貸借契約が存続することになる。」
ここで、民法903条第4講との違いを見ていくのですが、生前贈与などの所有権の引継ぎが行われていなくても、遺産分割協議が終わるまでは、対象者である「被相続人と同居の相続人」には、無償で当該建物に居住する権利(使用貸借)を認めている内容となっています。
つまり、他の相続人は、同居している相続人に対して、遺産分割が終わるまでは「今すぐ出ていけ。」とは言えないということです。
3.配偶者の権利の保護という観点

2019年7月1日及び2020年4月1日改正の民法の規定において、「配偶者の保護」を目的とする規定が設けられています。例えば
①配偶者居住権・配偶者短期居住権
➁夫婦間における持戻しの免除の意思表示推定規定
が挙げられます。配偶者居住権とは、相続開始時に被相続人の財産に属している土地建物に居住していることで発生する権利です。またの機会に詳しく解説したと思います。
4.まとめ
夫婦間における持戻しの免除の意思表示推定規定は、長年連れ添った配偶者の生活の基盤を保護する規定です。相続発生後、遺産分割協議で生活の基盤を失ったというのでは、その後の生活にも支障をきたす恐れがあるために設けられたものと考えます。判例でも、同居している相続人が対象となりますが、当然、配偶者もこれに含まれます。相続が発生した後も、配偶者が安心して生活ができるような規定になっております。
このように、相続関連の法律相談を専門家にするということは、このような法令上の権利を総合的に判断し、公平な遺産分割を促進するためにも重要になってくると思います。ぜひ、アイリスの相続無料相談会をご活用ください。

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