(1) 遺言書の活用
農地を誰に相続させるかを明確に指定しておくことは不可欠です。遺言がない場合、相続人全員で遺産分割協議を行う必要があり、農地の扱いを巡ってトラブルになるケースもあります。公正証書遺言で農地の行方を明示することは大きな効果があります。
(2) 生前贈与と農地法の手続き
農地を子どもや第三者に生前贈与する場合には、農地法の許可が必要です。農業委員会への申請が通ればスムーズに名義変更ができますが、実際には「受け取る側が農業をする意思・能力を有するか」が審査のポイントになります。子どもが農業をしない場合には贈与が認められないケースも多いため、慎重な検討が必要です。
(3) 農地付き不動産の売却・転用
市街化区域内の農地であれば、農地転用の手続きを経て宅地として売却できる場合があります。一方、市街化調整区域内の農地は原則として転用が難しいため、自治体の方針や地域計画を確認することが重要です。
(4) 信託を利用した農地管理
最近では、信託を活用して農地を管理する方法も注目されています。信頼できる人に農地を託し、売却や処分のタイミングを柔軟に決めることができます。相続後に分散してしまうリスクを避ける有効な手段です。
4. 専門家によるコンサルティングの流れ