(マーケット視点)選ばれるための競争戦略

2024年02月18日

以前、アメリカの経営学者であるマイケル・ポーター氏の記事を読んだことがあります。それは、「選ばれるための競争戦略」というものでした。企業・国家などが、対外的に選ばれるために必要な要件について書かれていました。解説をしていきたいと思います。

目次

1.選ばれる競争戦略とは

2.3つの戦略について

3.まとめ


1.選ばれる競争戦略とは

 アメリカの経営学者マイケル・ポーターの競争戦略に関する概略は、彼が提唱した基本的な3つの戦略類型に焦点を当てます。これらの戦略は、企業が競争環境で優位性を確立し、持続可能な成功を達成するためのアプローチを指し示しています。

 ①コストリーダーシップ戦略(Cost Leadership Strategy):

  企業は業界内で最も低いコストで製品やサービスを提供することを目指します。

  大量生産や効率向上を通じてコストを最小化し、価格競争で優位性を獲得します。

  主に標準化された製品やサービスの提供に適しています。

 ➁差別化戦略(Differentiation Strategy):

  企業は製品やサービスにおいて他社との差別化を図り、独自性を強調します。

  技術の革新、ブランド力、デザイン、高品質のサービスなどが差別化の要素となります。

  顧客に対して独自の価値を提供し、プレミアム価格を維持します。

 ③集中戦略(Focus Strategy):

  企業は特定の市場セグメントや地域に焦点を当て、そこで競争優位を構築します。

  選ばれた領域で深い専門知識を築き、競合他社との直接の競争を回避します。

  一般的に、特定のニーズや好みに合致する製品やサービスを提供します。

 これらの戦略は、企業が自らの状況に応じて採用することで、競争環境での優位性を構築する手段となります。また、一部の企業はこれらの戦略を組み合わせて、独自の戦略的ポジショニングを築くことがあります。

2.3つの戦略について

 まずは①コストリーダーシップ戦略ですが、個人事務所の士業で、この戦略は取るべきではありません。規模の大きい事業所に対しては、資金力で負けてしまうからです。薄利多売とも言いますが、要求してくる顧客がいる場合には、ターゲットを変えた方がいいかもしれませんね。

 あとは、「わざわざレッドオーシャン(競争の激しいマーケット)に飛び込む行為」も同じです。一つ例に挙げるとすれば、「ポータルサイトに金を払って登録すること」だと、私は考えています。相続登記を例に挙げると、成果物は登記の完了証と登記簿と権利証です。登記が完了すれば必ず発行されるものです。つまり、成果物は同じということなのです。たとえでよく使うのですが、「自動販売機」のドリンクの一つに自分の事務所の名前を連ねるということです。お金(金額は異なるが)を入れれば、成果物であるジュースは出てくるわけです。無料相談、親切な対応とか迅速な手続きといった価値よりも、顧客は値段重視になるでしょう。ですので私はわざわざ、そこには名前を連ねることはしないと決めました。

 次に、➁差別化戦略です。差別化するためには、自身の事務所の強みを調べつくしました。そして、ある答えを基にビジネスモデルを構築しました。差別化戦略は功を奏し、今のところ順調に推移していますが、これもいつまで続くかわかりませんので、第2、第3の差別化戦略の軸を探し続けています。ここはじっくり時間をかけて調査すべきです。成功体験を一つでも積めば、そこから派生する様々な戦略が生まれます。

 最後に③集中戦略です。集中というとよくわからないと思う方もいらっしゃるかもしれませんので「専門」と置き換えるといいかもしれませんね。そうなんです、専門分野を特化することで、マーケットにアピールするということです。以前ご紹介した「ランチェスター戦略」にも通じる戦略だと思います。

3.まとめ

 以上、マイケル・ポーター氏の「選ばれる競争戦略」について解説をしてきました。

 「選ばれる競争戦略」は3つありますが、個人事業の士業が使えるもの、使えないものがあることが分かったと思います。

 もう一つ、注意しなければならない点があります。作戦と戦略の違いです。この点をよく間違えている方がいて、次々新しいことをやっているのですが、結果がついてきていない方を見かけます。戦略というのは「ビジネス指針」的なもので、一度決めたらよほどのことがなければ変更はしてはダメな、ビジネスモデルの骨子の部分です。一方作戦とは、戦略が行き詰った場合、「改善策」をしなければなりませんが、それです。時折、短期間に何度も戦略を変えている方がいらっしゃいますが、時間とお金の無駄になりかねませんし、成功体験も作ることは困難になります。注意してビジネス計画を立てていきましょう。

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