相続の相談でいちばん多い失敗は、
「税理士に行ったら登記の話ができず、司法書士に行ったら税金が分からない」ことです。
(論点)相続発生から半年後、税務署から青色の封筒が届きました。何かする必要はありますか?

「周りで相続税を払った人を知らない」方が多いのはなぜか。また、相続発生から半年後に税務署から青色の封筒(相続税についてのお知らせ)が送られる場合があります。この場合の対処方法について、解説しております。
目次
1. 相続税がかかる割合
2. 税務署からの青色封筒の目的
3. 税理士に相談すべき理由
まとめ
1. 相続税がかかる割合

相続税は、日本の税制の中でも特に関心を集める分野の一つです。近年、基礎控除の引き下げによって、相続税が課税される割合が増加していることが報告されています。具体的には、2020年のデータによると、相続税の申告が必要となる割合は約8.8%に上昇しています。これは、相続が発生した人のうち、相続財産が基礎控除額を超えて課税対象となるケースの割合を指します。
この基礎控除額は、「3,000万円 + 法定相続人1人あたり600万円」と定められています。つまり、例えば法定相続人が2人いる場合、相続財産が4,200万円を超えると相続税の申告が必要です。2015年以前はこの基礎控除額がより高かったため、課税対象となる相続人の割合は約4%前後で推移していましたが、控除額の引き下げにより課税対象が拡大し、約2倍に増加しています。
このような制度変更により、相続税がかかる層が広がったことは、特に都市部で不動産を所有している世帯や、資産が比較的多い世帯にとって大きな影響を及ぼしています。固定資産税評価額の高い不動産を相続する場合や、金融資産が多い場合などは、相続税の課税対象となる可能性が高くなります。
2. 税務署からの青色封筒の目的

相続が発生してから約半年後、税務署から相続人に対して青色の封筒が送付されることがあります。この封筒には、相続税に関するアンケート(相続税についてのお知らせ)が同封されています。このアンケートの目的は、相続税の申告が必要かどうかを確認し、適切な申告が行われているかを確認するためです。
具体的には、相続財産の内容やその評価額、相続人の数、相続税申告の予定などに関する質問が記載されており、税務署はこのアンケートを基に申告漏れを防ぐための調査を行います。このアンケートは必ずしも全ての相続人に送られるわけではなく、相続財産の規模や申告状況に応じて送付されることがあります。
※放置した場合は、後に税務調査まで発展するケースがありますので、ご注意を。
3. 税理士に相談すべき理由
青色封筒を受け取った際、税理士に相談することが推奨されます。その理由は以下の通りです。
申告漏れや誤りを防ぐ
相続税の申告は非常に複雑で、財産の評価や控除額の計算、特例の適用など多くの専門的知識が必要です。申告内容に誤りがある場合、後から税務署の調査が入り、追徴課税やペナルティが科されるリスクがあります。税理士に相談することで、正確な申告が確実に行われます。
節税対策が可能
税理士は、相続税申告において活用できる節税対策を提案してくれます。例えば、配偶者に対する税額軽減や、小規模宅地等の特例など、相続財産の状況に応じた最適な節税方法を導入することで、相続税の負担を軽減することが可能です。専門家のアドバイスを受けることで、余計な税負担を避けることができます。
手続きの安心感
相続税申告には多くの書類や手続きが必要であり、期限内に申告を行わなければなりません。税理士に依頼することで、手続きがスムーズに進み、安心して相続手続きを終えることができます。
複雑な財産の評価
特に不動産や非上場株式など、財産の評価が難しい場合、専門家の助けを借りることで正確な評価が可能になります。これにより、過大な評価による不当な税負担を避けることができ、適正な相続税額の申告が可能となります。

まとめ
相続税がかかる割合は約8.8%と、以前に比べて増加しています。これは基礎控除額の引き下げが大きく影響しており、特に都市部で不動産を所有している場合や、資産が多い世帯にとって注意が必要です。また、税務署から青色の封筒で届く相続税に関するアンケートは、相続税の申告状況を確認し、申告漏れを防ぐためのものです。このアンケートを受け取った場合、相続税の申告が必要かどうかについて、税理士に相談することが推奨されます。税理士の専門知識を活用することで、正確かつ適切な申告が行われ、節税の可能性も広がります。
アイリスが参加している相続法律・税務無料相談会では、上記のように相続後に税務署から来た書類の内容についてのご相談も受け付けております。ぜひご利用ください。

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