相続の相談でいちばん多い失敗は、
「税理士に行ったら登記の話ができず、司法書士に行ったら税金が分からない」ことです。
知らないと損する相続の新常識|2025年開始「口座管理法」と相続時口座照会制度をやさしく解説

「通帳が見つからない」「ネット銀行の口座があるはずだけど分からない」――最近の相続では、預金口座の把握がどんどん難しくなっています。実は2025年から、こうした不安を大きく減らせる新しい制度が始まりました。今回は、相続手続きをラクにしてくれる「口座管理法」と「相続時口座照会制度」について、司法書士の視点でやさしく解説します。
目次
1 制度ができた背景
2 口座管理法とは
3 相続時口座照会制度とは
4 アプリ口座も対象?
5 メリット・デメリット
6 まとめ
1 制度ができた背景

相続のご相談を受けていると、最近とても増えている声があります。
「父の通帳が見つからないんです」
「どこの銀行に預けていたか、家族も知らなくて…」
「スマホのアプリ銀行を使っていたみたいですが、ログインも分からなくて…」
ひと昔前であれば、タンスや引き出しを探せば通帳が出てきました。
郵便物やキャッシュカードも手がかりになりました。
しかし今はどうでしょうか。
✔ 通帳なし(通帳レス口座)
✔ ネット銀行
✔ スマホ専用アプリ銀行
✔ Web明細のみ
このような「目に見えない預金」が当たり前の時代です。
つまり、
「家族が口座の存在に気づけない」リスクが急増している のです。
この問題を解決するためにスタートしたのが、今回ご紹介する新制度です。
2 口座管理法とは

2025年4月から始まった「口座管理法」は、簡単に言うと
預貯金口座とマイナンバーを紐づけて管理できる制度
です。
本人の希望があれば、銀行口座とマイナンバーを登録(付番)しておくことができます。
これにより、
・災害時
・相続時
に、口座情報を確認しやすくなる仕組みが整えられました。
ここで大切なのは、
✅ 義務ではない(任意)
✅ 本人が申し出た口座だけ登録される
という点です。
勝手に国に把握されるわけではありませんので、ご安心ください。
あくまで
「いざという時に家族が困らないようにするための準備」
と考えていただくと分かりやすいでしょう。
3 相続時口座照会制度とは

そして、この口座管理法を活用して実際に使えるのが
「相続時口座照会制度」 です。
これは、相続人が申請すると
👉 被相続人名義の口座をまとめて照会できる制度
です。
これまでは、
・銀行Aへ行って照会
・銀行Bへ行って照会
・銀行Cへ行って照会
と、1件ずつ回る必要がありました。
正直、かなり大変な作業です。
しかし新制度では、
一度の申請で対象金融機関の口座情報を確認できる
ようになりました。
相続人の負担は大幅に軽減されます。
4 アプリ口座も対象?

ここが皆さま一番気になるポイントだと思います。
結論から言うと、
アプリ銀行・ネット銀行も対象になります。
通帳がある・ないは関係ありません。
大事なのはただ一つ。
👉 マイナンバーと紐づけしているかどうか
これだけです。
つまり、
✔ 地銀
✔ 信用金庫
✔ ネット銀行
✔ スマホ専用銀行
すべて同じ扱いです。
「通帳がないから無理」ということはありません。
デジタル時代に合わせた制度設計になっている点は、とても心強いところですね。
5 メリット・デメリット

メリット
最大のメリットは、やはり
口座探しの手間が激減すること です。
・銀行を何件も回らなくていい
・預金の見落としを防げる
・相続税申告の漏れリスクが減る
・家族の精神的負担が軽くなる
相続実務に携わる立場としても、これは非常に大きな前進だと感じています。
デメリット・注意点
ただし、万能ではありません。
特に注意していただきたいのが、
❌ 紐づけしていない口座は出てこない
という点です。
生前に登録していない口座は、この制度では見つかりません。
また、
・一部対象外金融機関
・証券口座や保険は対象外
・手数料がかかる
といった制限もあります。
ですから、
「これだけで全部分かる」
ではなく、
「相続手続きを助けてくれる補助ツール」
と考えるのが正しい使い方です。
6 まとめ

相続の現場は、確実に変わってきています。
通帳の時代から、アプリの時代へ。
目に見える財産から、見えない財産へ。
だからこそ、
「探す相続」から「把握できる相続」へ
発想を変える必要があります。
口座管理法と相続時口座照会制度は、
そのための大切な第一歩です。
生前に少し準備しておくだけで、
ご家族の負担は驚くほど軽くなります。
「うちはまだ大丈夫」ではなく、
「元気な今のうちに整えておく」
これが、これからの相続対策の新常識です。
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