【司法書士が解説】遺言書を書いて後悔する人の共通点|撤回・書き直しは間に合います

2026年05月06日

遺言書は何度でも撤回・書き直しが可能です。
後悔しても、原則としてやり直すことができます。

遺言書を書いて後悔する主な理由は、

   ・感情で配分を決めてしまった

   ・家族関係の変化を想定していなかった

   ・遺留分への配慮がなかった

   ・財産状況が変わった

といった「設計不足」にあります。

実務では、遺言作成後に家族関係や財産内容が変化し、「このままで大丈夫だろうか」と相談に来られる方は少なくありません。

本記事では、

  1. 後悔が生まれる典型パターン
  2. 撤回・書き直しの法的仕組み
  3. 後悔しない遺言の設計方法

を司法書士の視点から解説します。

目次

  1. 遺言書は撤回できるのか
  2. 遺言書を書いて後悔する5つの共通点
  3. 撤回・書き直しの具体的方法
  4. 実務でよくある後悔事例
  5. よくある質問(FAQ)

1.遺言書は撤回できるのか

結論から言えば、遺言書はいつでも撤回できます。

新しい遺言を作成すれば、原則として前の遺言は撤回されたものとみなされます。

また、

   ・遺言書を破棄する

   ・内容と矛盾する新たな処分をする

ことでも撤回とみなされる場合があります。

ただし、方法を誤るとトラブルの原因になります。
確実なのは「新しい遺言を正式方式で作成する」ことです。

2.遺言書を書いて後悔する5つの共通点

遺言書を書いて後悔する人の主な共通点は次の5つです。

① 感情的に配分を決めた
② 家族関係の変化を想定していない
③ 再婚・前婚の子への配慮不足
④ 財産の変動を考慮していない
⑤ 遺留分を軽視している

順に見ていきます。

感情的に配分を決めた

「面倒を見てくれた長男に全部」

気持ちは理解できますが、他の相続人との関係を悪化させる可能性があります。

時間が経つと、「少し偏りすぎたかもしれない」と後悔するケースがあります。

家族関係の変化を想定していない

遺言作成後に、

   ・子が結婚した

   ・孫が生まれた

   ・家族関係が改善した

こうした変化があると、配分の前提が崩れることがあります。

遺言は一度書けば終わりではありません。

再婚・前婚の子への配慮不足

再婚家庭では特に注意が必要です。

前婚の子と現在の配偶者のバランスを誤ると、強い対立が生じます。

実務では、ここが最も揉めやすいポイントの一つです。

財産の変動を考慮していない

不動産を売却した
新たな不動産を取得した
金融資産が増減した

こうした変動があると、遺言の内容が現実と合わなくなることがあります。

遺留分を軽視している

遺留分を侵害すると、後に金銭請求が発生します。

「遺言があるのに揉める」典型例です。

後から「ここまで想定していなかった」と後悔されることがあります。

3.撤回・書き直しの具体的方法

遺言の撤回方法は主に次の3つです。

① 新しい遺言を作成する
② 遺言書を故意に破棄する
③ 矛盾する法律行為を行う

もっとも安全なのは①です。

特に公正証書遺言の場合、原本は公証役場に保管されています。
単純に破棄しても撤回にはなりません。

確実に撤回するには、新しい遺言を正式方式で作成することが重要です。

4.実務でよくある後悔事例

香川県内の事例です。

数年前に「長男に全財産」とする遺言を作成。
その後、次男との関係が改善。

「今のままで本当にいいのだろうか」と相談に来られました。

幸い、遺言は新たに作成し直し、バランスを調整しました。

もしそのままだった場合、遺留分請求や感情的対立が生じた可能性があります。

遺言は「固定」ではなく、「見直す前提」で考えるべき制度です。

5.よくある質問(FAQ)

Q.遺言書は何度でも書き直せますか?

A.はい、可能です。新しい遺言を作成すれば、原則として以前の遺言は撤回されます。

Q.遺言書を破けば撤回になりますか?

A.自筆証書遺言であれば、故意の破棄は撤回とみなされる場合があります。ただし確実性を求めるなら新しい遺言を作成すべきです。

Q.公正証書遺言も撤回できますか?

A.可能です。ただし公証役場の原本は残るため、新たに公正証書遺言を作成する方法が一般的です。

まとめ

遺言書を書いて後悔する原因の多くは、
将来の変化を想定していないことにあります。

遺言は一度作って終わりではありません。

   ・家族関係が変わる

   ・財産が変わる

   ・気持ちも変わる

だからこそ、定期的な見直しが重要です。

遺言は「固定する制度」ではなく、
人生の変化に合わせて更新する制度です。

次回は、
「揉める遺言の特徴」について、争族回避の視点から解説します。

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