「相続登記はしなくていい」は本当?現場で起きた“誤解”と義務化の本当の意味
2024年4月1日から相続登記は義務化されました。しかし現場では「固定資産税を払っていれば大丈夫」「登記は不要」といった誤解が今も残っています。本記事では、実際の相談事例をもとに、相続登記義務化の正しい理解と注意点を司法書士の視点で解説します。香川県高松市を中心に、生前対策・相続対策を検討されている方はぜひご覧ください。

「遺言書までは大げさかもしれないけど、何か残しておいた方がいいですか?」
そんなご相談をよくいただきます。
今回は、正式な遺言書ではなかった"ある一枚のメモ"が、家族の心をつないだお話をもとに、司法書士として感じた「想いの残し方」の大切さをお伝えします。
■目次
1. 一枚のメモから始まった相続相談

高松市内にお住まいの三人姉妹から、「父が亡くなった」とのご相談をいただきました。
葬儀も終わり、少し落ち着いた頃。
相続の話を始めようとしたとき、長女の方が小さな封筒を取り出されました。
「これ、父の机の引き出しに入っていたんです」
中には、折り畳まれたA4の紙。
震える字で、こう書かれていました。
『家は長女に。預金は三人で仲良く分けてほしい。
いつも助けてもらって感謝している。ありがとう。』
署名や日付はありましたが、押印はなく、いわゆる**「自筆証書遺言」**としての形式は整っていませんでした。
2. 法的には「遺言」ではないけれど

私はまず、「これは法律上の遺言書ではない可能性が高いです」と正直にお伝えしました。
ただし──その一言に続けて、こう言いました。
「でも、"遺志"としての力は十分にあります。」
形式が不備でも、家族がそれをどう受け取るかが一番大切です。
このメモは、少なくともお父さまが「家族を思って書いたもの」。
法的効力がなくても、"心の整理"を助けることはできるのです。
三姉妹の皆さんも、黙って頷かれました。
「父らしい書き方ですよね。几帳面じゃないけど、優しい人でした。」
3. 家族の心を動かした"たった数行の言葉"

話を進めていくと、家族の中で少し意見が分かれました。
「法的に有効じゃないなら、平等に分けた方がいいのでは?」
「でも、父の言葉を無視するのは違う気がする…」
議論が続いた後、三女の方がふとこう言われました。
「"ありがとう"って書いてある。それだけで十分じゃない?」
その瞬間、空気が変わりました。
泣きながら、三姉妹は封筒を見つめていました。
言葉よりも、想いが残っていたのです。
4. 司法書士が橋渡しした「想い」の整理
私の役目は、感情を整理しながら、法的に安全な形に落とし込むことです。
最終的には、メモの内容を尊重しつつ、
「家は長女名義」「預金は三人で均等に」
という内容の遺産分割協議書を作成しました。
その過程で、私はあえて時間をかけました。
「法的に正しい」ことを急ぐよりも、
**"全員が納得して署名できること"**の方が重要だからです。
完成した協議書に三人が署名したとき、
「父の言葉を守れた気がします」と言われたのが印象的でした。
5. 遺言書の目的は"法的効力"だけではない

司法書士として感じるのは、
「遺言書=法的文書」ではなく、
"人生のメッセージ"を残す手段だということです。
確かに、形式を整えることは大切です。
しかし、形式だけ整えても、心が伝わらない遺言書は少なくありません。
逆に、このお父さまのように、不完全でも"想いの温度"が伝わるメモが、家族を救うこともあるのです。
そこで私がよくお伝えしているのは、
「遺言書の効力についてはサポートしますので、まずは"自分の想いを書くこと"が大切です。」
そして、できればその想いを司法書士や家族と共有し、
**「想いを形にするサポート」**を受けておくと、より安心です。
6. まとめ:想いを残すことが、家族を救う
この出来事から、私は改めて感じました。
人は、財産を残すためだけに遺言を書くのではありません。
「家族がもめないように」「ありがとうを伝えたい」──
その小さな気持ちが、どれだけ大きな力を持つかを。
お父さまのメモは、法的には"遺言書未満"でした。
けれども、**家族をひとつにした"想いの証"**だったのです。
これから生前対策を考える方へ。
どうか「何を書くか」より、「何を伝えたいか」を大切にしてください。
司法書士として、あなたの"想いを形にするお手伝い"をいたします。
しかし、こんな風にうまくいくかどうかなんてわかりません。ちゃんとした遺言書をかければ一番ですので、元気なうちに専門家に相談しましょう。

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