相続の相談でいちばん多い失敗は、
「税理士に行ったら登記の話ができず、司法書士に行ったら税金が分からない」ことです。
第4回:「公正証書遺言」か「自筆証書遺言」か──あなたに合う遺言の形

遺言書を書く方法にはいくつかの種類があります。中でもよく使われるのが「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」。どちらが良いかは、人によって違います。今回は、両者の特徴と選び方を、司法書士の視点からわかりやすくお伝えします。「自分に合う遺言の形」を見つける参考にしてください。
◆目次
- 遺言の形式で"結果"が変わる?
- 自筆証書遺言の特徴とメリット・注意点
- 公正証書遺言の特徴とメリット・注意点
- どちらを選ぶ?──判断のポイント3つ
- 司法書士が関わるとどう違う?
- まとめ──「書いたあと」が大事になる
1. 遺言の形式で"結果"が変わる?

遺言書には、代表的なものとして
- 自筆証書遺言(自分で書く)
- 公正証書遺言(公証人が作成)
- 秘密証書遺言(内容を秘密にして提出)
の3種類があります。
このうち実際に多く利用されているのは、自筆証書遺言と公正証書遺言の2つです。
「内容が同じなら形式は関係ない」と思われる方もいますが、
実際には形式の選び方で、実現できる確実性や安心感が大きく変わります。
つまり「どんな遺言にしたいか」ではなく、
「どんな人に向いているか」で考えるのが正解です。
2. 自筆証書遺言の特徴とメリット・注意点

自筆証書遺言とは、文字どおり自分の手で書く遺言書です。
紙とペンがあればすぐに作れるため、手軽に始められるのが魅力です。
メリット
- 費用がほとんどかからない
自分で作成できるため、公証人の手数料は不要です。 - 内容を秘密にできる
作成時点では誰にも見せる必要がないため、家族にも知られずに作れます。 - 気持ちを素直に書きやすい
形式に縛られず、想いを自由に表現できます。
注意点
一方で、形式を一つ間違えると無効になるリスクがあります。
特に注意すべきは以下の点です。
- 日付・署名・押印の欠落
- 代筆やパソコン印字は原則NG(自筆が原則)
- 財産の特定があいまい(「○○銀行の預金」だけでは足りないことも)
- 発見されない・改ざんされる可能性
- 相続開始後、「家庭裁判所の検認」が必要
これらのリスクを軽減するために、
**法務局の「自筆証書遺言書保管制度」**を利用する方法があります。
法務局で遺言書を預けておけば、紛失や改ざんの心配がなく、検認も不要になります。
3. 公正証書遺言の特徴とメリット・注意点
公正証書遺言とは、公証役場で公証人が内容を確認しながら作成する遺言書です。
作成時には、証人2人の立ち会いが必要になります。
メリット
- 法律上の確実性が高い
専門家(公証人)が内容・形式を確認するため、無効になる心配がほぼありません。 - 原本が公証役場に保管される
火災や紛失などのリスクがなく、相続開始後も確実に取り出せます。 - 検認が不要
家庭裁判所の手続を経ずにすぐ執行でき、相続手続きがスムーズです。 - 代理作成も可能
手が不自由な方や入院中の方でも作成ができます。
注意点
- 公証人の手数料(財産額に応じて数万円〜)がかかる
- 証人2人の立ち会いが必要(家族は原則不可)
- 一度作成すると内容をすぐに変更しにくい
ただし、費用や手間がかかるぶん、**「確実に残せる遺言書」**としての信頼性は圧倒的です。
後日のトラブル防止を第一に考える方には、非常におすすめの方法です。
4. どちらを選ぶ?──判断のポイント3つ

では実際に、自筆証書遺言と公正証書遺言のどちらが合っているのでしょうか。
判断の目安を3つ挙げます。
① コストよりも「確実性」を重視したい方
→ 公正証書遺言が向いています。
遺言の無効リスクや手続の手間を避けたい方におすすめです。
② 自分の気持ちを手書きで残したい方
→ 自筆証書遺言が適しています。
法務局の保管制度を使えば安全性も確保できます。
③ 家族の状況に複雑な事情がある方
(再婚、相続人の多さ、事業承継など)
→ 専門家立ち会いのもとで公正証書遺言を作成するのが安心です。
5. 司法書士が関わるとどう違う?
司法書士が関与する遺言作成は、単に「文面を整える」だけではありません。
特に以下のような部分でサポートできます。
- 法的に有効な文案の作成補助
- 財産・相続人調査(登記簿・戸籍確認)
- 公証人との調整・証人の手配
- 作成当日の同行支援
※相続に関する状況というのは、各相続別々です。そうなると、各個人の状況を踏まえ、要望に沿った形での遺言書が必要となるわけです。その設計をするお手伝いをしております。
つまり、「自分で書く不安」と「公証役場の手間」を同時に減らすことができるのです。
また、司法書士は「遺言執行者」として指定されることも多く、
作成後も実際の手続きまで一貫してサポートできます。
6. まとめ──「書いたあと」が大事になる
遺言書は「書いて終わり」ではありません。
保管・更新・家族への伝え方までを含めて考えてこそ、初めて意味を持ちます。
形式を選ぶときには、**「誰に何を伝えたいか」**という目的から考えること。
そして、家族が実際にその遺言を安心して使える形にすること。
そのための方法が、あなたに合う遺言の形です。
次回は、最終回として
「"想いを伝える"遺言──財産以上に残したいメッセージ」
をテーマに、心のこもった遺言書の書き方をお届けします。

◆(無料相談会のご案内)
「公正証書と自筆、どちらが自分に合うのか分からない」
そんな方は、専門家に一度ご相談ください。
アイリス国際司法書士・行政書士事務所では、
遺言の形式選びから作成・公証手続きまでトータルでサポートしています。
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