遺言書を書けば相続は安心?司法書士が断言します【答え:それだけでは不十分】

2026年01月13日

「とりあえず遺言書だけ書いておけば安心」
これは、生前対策について非常に多い誤解です。
結論から言えば、遺言書は相続対策の重要な手段ですが、万能ではありません。遺言書で対応できるのは、主に「亡くなった後の分け方」です。一方で、認知症になった後の財産管理や、生前の家族間トラブル、感情的な対立までは解決できません。
この記事では、遺言書の限界と、実務で本当に必要とされる生前対策の考え方を解説します。

目次

  1. 「遺言書さえあれば安心」という誤解
  2. なぜ遺言書が"万能"だと思われがちなのか
  3. 遺言書でできること・できないこと【整理】
  4. 遺言書では防げない3つの現実的リスク
  5. 認知症になると遺言書はどうなるのか
  6. 相続人同士の感情対立はなぜ起きる?
  7. 実務で行われている本当の生前対策
  8. 遺言+αで考えるべき制度の選択肢
  9. よくある質問(FAQ)
  10. まとめ

1. 「遺言書さえあれば安心」という誤解

相続対策=遺言書、というイメージは非常に強く、
「まずは遺言を書きましょう」
という情報だけが一人歩きしている印象があります。

しかし実務では、遺言書を書いていたにもかかわらず、相続が円満に進まないケースを数多く見てきました。
原因は、遺言書に「できること」と「できないこと」があるからです。

2. なぜ遺言書が"万能"だと思われがちなのか

遺言書が万能だと思われやすい理由は次のとおりです。

  • テレビや書籍で「遺言を書けば安心」と紹介されがち
  • 法律文書=強力というイメージ
  • 他の制度(後見・信託など)が分かりにくい

結果として、遺言書だけに期待しすぎてしまうのです。

3. 遺言書でできること・できないこと【要約ポイント】

まず、遺言書の役割を正しく整理しましょう。

遺言書でできること

  • 相続分の指定
  • 不動産や預貯金の分け方の指定

遺言書ではできないこと

  • 認知症後の財産管理
  • 生前の家族間トラブルの解消
  • 相続人同士の感情的な対立の調整

👉 遺言書は「亡くなった時(相続発生時)」の設計図であり、「生きている間」の問題には対応できません。

4. 遺言書では防げない3つの現実的リスク

認知症リスク

判断能力が低下すると、

  • 遺言の変更
  • 不動産の売却
  • 贈与
    が一切できなくなります。

生前の不公平感

遺言の内容を知らされていない場合、
「なぜあの人だけ多いのか」
という不満が生前から蓄積されます。

相続開始後の感情対立

遺言書があっても、

  • 解釈の違い
  • 納得感の欠如
    により紛争になることがあります。

5. 認知症になると遺言書はどうなるのか

重要なポイントとして、
認知症になってから新たに遺言書を書くことはできません

また、すでに書いた遺言書があっても、

  • 財産状況が変わった
  • 家族構成が変わった
    場合、内容が実情に合わなくなることもあります。

👉 「遺言がある=安心」ではない理由です。

6. 相続人同士の感情対立はなぜ起きる?

相続トラブルの多くは、法律よりも感情が原因です。

  • 親の本音を知らない
  • 生前の説明がなかった
  • 介護負担への不満

遺言書は、こうした感情のズレを直接解決することはできません。

7. 実務で行われている本当の生前対策

実務では、次のような組み合わせ型の生前対策が取られます。

遺言書
+ 生前の話し合い
+ 必要に応じた他制度(任意後見・家族信託など)

これにより、

  • 生前
  • 認知症後
  • 相続発生後

すべての段階をカバーします。

8. 遺言+αで考えるべき制度の選択肢

  • 任意後見契約:判断能力低下に備える
  • 家族信託:財産管理を柔軟に行う
  • 財産管理委任契約:元気なうちのサポート

👉 遺言書は「最後の一手」、それまでの備えが重要です。


9. よくある質問(FAQ)

Q. 遺言書があれば相続争いは起きませんか?
A. 起きることはあります。特に感情的対立は防げません。

Q. 公正証書遺言なら大丈夫ですか?
A. 無効リスクは低いですが、万能ではありません。

Q. 遺言以外は必ず必要ですか?
A. ご家族構成や財産内容によります。不要な場合もあります。


10. まとめ【要約用】

  • 遺言書は重要だが万能ではない
  • できるのは「亡くなった後」の指定だけ
  • 認知症・生前トラブル・感情対立は防げない
  • 実務では遺言+他の生前対策を組み合わせる

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