【なぜ相続は揉めるのか③】親が気付いていない不公平|平等にしたつもりが争族になる理由

2026年07月29日

前回の記事では、

「仲の良い兄弟ほど相続で揉める理由」

についてお話ししました。

相続トラブルの背景には、財産の問題だけでなく、人間関係や感情の問題があることをお伝えしました。

今回は、その感情の中でも特に大きな影響を与える

「不公平感」

について考えてみたいと思います。

相続の現場では、

「親は平等にしたつもりだった」

というケースが少なくありません。

しかし、その一方で、

「なぜ私だけが損をするのか」

と感じる子どももいます。

実は、この認識のズレこそが相続争いの火種になることがあるのです。

目次

  1. 平等と公平は同じではない
  2. 親は平等にしたつもりだった
  3. 子どもが感じる不公平とは
  4. 介護が生む不公平感
  5. 生前贈与が争いを招くこともある
  6. 不公平感を防ぐために必要なこと
  7. まとめ

1. 平等と公平は同じではない

相続の相談を受けていると、

「子ども全員に平等に分ければ問題ないですよね」

という言葉をよく耳にします。

確かに法律上は平等な分割が一つの基準になります。

しかし、人間の感情は必ずしも平等だけで納得するわけではありません。

例えば、学校の運動会で全員に同じ賞品を配ったとしても、

努力した人とそうでない人では感じ方が違います。

相続でも同じです。

人は平等よりも、

「公平に扱われたか」

を重視する傾向があります。

2. 親は平等にしたつもりだった

親の立場からすると、

子どもは皆かわいい存在です。

だからこそ、

「均等に分けておけば揉めないだろう」

と考えることがあります。

その考え自体は間違いではありません。

しかし、親が見ている景色と子どもが見ている景色は違います。

親は現在の状況を見ています。

一方で子どもたちは、

これまでの人生全体を見ています。

そこに認識のズレが生まれるのです。

3. 子どもが感じる不公平とは

相続の場面でよく聞かれる言葉があります。

「兄ばかり優遇されていた」

「妹だけ援助を受けていた」

「私は何もしてもらっていない」

実際に金額を計算すると大きな差ではないこともあります。

しかし問題は金額ではありません。

本人がどう感じているかです。

子どもにとっては、

  • 学費の援助
  • 住宅購入資金の援助
  • 結婚資金の援助

なども記憶に残っています。

親にとっては昔の出来事でも、

子どもにとっては現在も続く感情であることがあります。

4. 介護が生む不公平感

近年、特に増えているのが介護を巡る不公平感です。

例えば、

長男が遠方に住んでいる。

長女が親と同居している。

このようなケースでは、

長女が日常的に介護を担うことがあります。

介護をしている本人からすると、

時間も使った。

お金も使った。

仕事も制限された。

という思いがあります。

そのため、

「相続だけ平等では納得できない」

と感じることがあります。

一方で他の兄弟は、

「介護は感謝しているが、財産は平等であるべきだ」

と考えるかもしれません。

どちらが正しいという問題ではありません。

価値観が違うのです。

5. 生前贈与が争いを招くこともある

親は良かれと思って行動します。

例えば、

住宅購入資金を援助した。

事業資金を支援した。

孫の教育費を負担した。

こうした行為は愛情の表れです。

しかし相続が始まると、

別の兄弟から見れば、

「特別扱い」

に見えることがあります。

親に悪意はありません。

むしろ家族を助けたいという善意です。

しかし善意が不公平感を生むこともあるのです。

6. 不公平感を防ぐために必要なこと

では、どうすれば良いのでしょうか。

私は、

財産の分け方以上に、

親の考えを伝えることが重要だと考えています。

例えば、

「介護をしてくれたことに感謝している」

「なぜこのような分け方にしたのか」

「なぜ援助したのか」

という理由を生前に伝えておくのです。

人は結果だけを見ると不満を持ちます。

しかし理由を知ることで納得できることがあります。

相続対策とは単なる財産対策ではありません。

家族間の認識を共有するための準備でもあるのです。

7. まとめ

親は平等にしたつもりでも、

子どもが不公平だと感じることがあります。

その背景には、

  • 過去の経験
  • 介護負担
  • 生前贈与
  • 感情の積み重ね

があります。

相続で重要なのは、

平等に分けることだけではありません。

家族が納得できる形を考えることです。

そのためには、生前から親の考えを伝え、家族で話し合う機会を持つことが大切です。

次回は、

「長男・長女問題は終わっていない」

というテーマで、現代でも残る家族内の役割意識と相続トラブルについて考えてみたいと思います。

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