【なぜ相続は揉めるのか④】長男・長女問題は終わっていない|現代の相続に残る家族の思い込み

2026年07月30日

前回は、

「親が気付いていない不公平」

についてお話ししました。

相続で問題になるのは財産だけではありません。

家族の中にある価値観や役割意識も大きく影響します。

その代表的なものが、

「長男だから」
「長女だから」

という考え方です。

現代では男女平等が当たり前になり、法律上も相続権に違いはありません。

しかし、相続相談の現場では今でも

「長男だから当然」

「長女だから仕方ない」

という言葉を耳にすることがあります。

今回は、現代にも残る長男・長女問題について考えてみたいと思います。

目次

  1. 法律上は平等になった相続
  2. それでも残る長男意識
  3. 長女に集中しやすい介護負担
  4. 親と子どもの認識のズレ
  5. 地方ほど残りやすい家意識
  6. 家族の役割を見直す時代へ
  7. まとめ

1. 法律上は平等になった相続

現在の民法では、

長男だから多く相続できる

長女だから相続権が少ない

ということはありません。

兄弟姉妹は原則として平等です。

しかし法律が変わったからといって、人の考え方がすぐ変わるわけではありません。

特に親世代には、

「家を守るのは長男」

という価値観が残っていることがあります。

そして、その価値観が相続時に問題となることがあるのです。

2. それでも残る長男意識

例えば、

実家は長男が引き継ぐ。

先祖代々の墓を守る。

親の代わりに地域との付き合いを続ける。

こうした役割を期待されている家庭は少なくありません。

長男本人も、

「自分が継ぐものだ」

と思っている場合があります。

一方で他の兄弟は、

「財産だけは平等に分けてほしい」

と考えていることがあります。

すると、

長男は

「責任だけ押し付けられた」

と感じ、

他の兄弟は

「長男だけ優遇されている」

と感じます。

ここに対立の芽が生まれます。

3. 長女に集中しやすい介護負担

長男問題と並んで見落とせないのが長女問題です。

近年の相続では、

実際に親の介護を担っていたのが長女だったというケースも少なくありません。

親の通院の付き添い。

買い物の手伝い。

施設探し。

入退院の対応。

こうした負担を日常的に引き受けていることがあります。

しかし相続が始まると、

財産は平等に分けるべきだ

という話になります。

すると、

介護していた側には不満が残ります。

「私だけ負担を背負ったのに」

という感情です。

法律だけでは解決できない問題がここにあります。

4. 親と子どもの認識のズレ

親は、

長男に期待している。

長女に頼っている。

そんな意識を持っていても、

本人たちに十分伝えていないことがあります。

一方で子どもたちは、

親が何を考えているのか分からないまま過ごしています。

すると相続が発生したとき、

それぞれが自分なりの解釈を始めます。

「親は長男に継いでほしかったはずだ。」

「いや、平等に分けるべきだ。」

「介護をした私が報われるべきだ。」

誰も悪意はありません。

しかし考え方が違うために衝突してしまうのです。

5. 地方ほど残りやすい家意識

地方では、

家や土地が代々受け継がれてきたという背景があります。

そのため、

相続は個人の財産の問題であると同時に、

家の承継の問題でもあります。

実家。

墓地。

農地。

地域とのつながり。

こうした要素が絡むことで、

単純に財産を分けるだけでは済まない場合があります。

法律だけでは整理できない問題が存在するのです。

6. 家族の役割を見直す時代へ

現代の相続で重要なのは、

昔の価値観を否定することではありません。

また、

法律だけを押し付けることでもありません。

大切なのは、

家族ごとに何を大事にしたいのかを話し合うことです。

実家を残したいのか。

売却したいのか。

介護の負担をどう考えるのか。

親の希望は何なのか。

こうしたことを共有することで、

相続後のトラブルを防ぎやすくなります。

相続対策とは、

財産対策だけでなく、

家族の価値観を整理する作業でもあるのです。

7. まとめ

長男・長女問題は過去の話ではありません。

法律上は平等であっても、

家族の中には今も様々な役割意識が残っています。

そして、

  • 長男への期待
  • 長女への依存
  • 介護負担
  • 家意識

が相続トラブルにつながることがあります。

だからこそ大切なのは、

誰が正しいかを決めることではなく、

家族で将来について話し合うことです。

次回は、

「介護した人としていない人」

というテーマで、相続争いの大きな火種となる介護負担について考えてみたいと思います。

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