【認知症になったら何が起きるのか①】銀行口座は本当に凍結されるのか|家族が困るお金の問題

2026年08月05日

相続や生前対策の相談を受けていると、

「認知症になったら銀行口座は凍結されると聞いたのですが本当ですか?」

という質問をいただくことがあります。

テレビやインターネットでは、

「認知症になると預金が下ろせなくなる」

という話を見かけることもあります。

確かに、そのような事態が起こる可能性はあります。

しかし実際には、

銀行がある日突然口座を凍結するという単純な話ではありません。

今回は、

銀行口座は本当に凍結されるのか

というテーマで、認知症と財産管理の問題について考えてみたいと思います。

目次

  1. 銀行口座は自動的に凍結されるのか
  2. なぜ銀行は取引を制限するのか
  3. 家族でも自由に預金は引き出せない
  4. 生活費や介護費用はどうなるのか
  5. 成年後見制度が必要になる場合
  6. 認知症になる前の対策が重要
  7. まとめ 

1. 銀行口座は自動的に凍結されるのか

まず結論から言えば、

認知症になった瞬間に銀行口座が自動的に凍結されるわけではありません。

銀行が認知症の診断結果を常に把握しているわけではないからです。

しかし、

本人の判断能力に問題があることを銀行が把握した場合、

取引が制限されることがあります。

つまり、

「認知症=即口座凍結」

ではなく、

「本人保護のために取引が制限される可能性がある」

というのが正確な理解です。

2. なぜ銀行は取引を制限するのか

銀行が取引を制限する理由は、

預金者本人を守るためです。

認知症になると、

自分が何をしているのか十分に理解できなくなることがあります。

その状態で、

高額な出金をしたり、

詐欺被害に遭ったりする可能性があります。

銀行には、

預金者の財産を守るという責任があります。

そのため、

本人の判断能力に疑問がある場合には、

慎重な対応を取ることがあります。

銀行が意地悪をしているわけではありません。

本人保護のための措置なのです。

3. 家族でも自由に預金は引き出せない

ここで多くの方が驚かれます。

それは、

家族であっても本人の預金を自由に引き出せるわけではない

ということです。

例えば、

親の通帳を預かっている。

キャッシュカードも持っている。

暗証番号も知っている。

だから大丈夫。

そう考えている方も少なくありません。

しかし、

法律上は預金の所有者は本人です。

子どもであっても、

当然に代理権があるわけではありません。

認知症が進行した後に問題が発覚すると、

家族であっても自由な管理が難しくなることがあります。

4. 生活費や介護費用はどうなるのか

認知症による財産管理の問題で最も困るのは、

生活費や介護費用の支払いです。

例えば、

施設入所費用。

医療費。

住宅の修繕費。

固定資産税。

こうした支払いは待ってくれません。

ところが、

本人名義の預金が自由に動かせなくなると、

家族が立て替えなければならない場合があります。

実際の相談でも、

「預金はあるのに使えない」

という状況に直面するケースがあります。

財産があることと、

自由に使えることは同じではないのです。

5. 成年後見制度が必要になる場合

本人の判断能力が低下してしまった場合、

成年後見制度の利用が必要になることがあります。

成年後見制度とは、

家庭裁判所が選任した後見人等が本人に代わって財産管理を行う制度です。

本人の財産を守るという点では非常に重要な制度です。

一方で、

一度利用を始めると原則として本人が亡くなるまで続くことが多く、

柔軟な財産管理が難しい場面もあります。

そのため、

認知症になってから考えるのではなく、

元気なうちから検討することが重要になります。

6. 認知症になる前の対策が重要

認知症対策で最も大切なのは、

判断能力があるうちに準備することです。

例えば、

  • 任意後見契約
  • 家族信託
  • 遺言書の作成
  • 財産の見える化

などがあります。

認知症になった後では選択できない制度もあります。

だからこそ、

「まだ元気だから大丈夫」

ではなく、

「元気な今だから準備できる」

という視点が重要です。

認知症対策とは、

将来の不安に備える未来設計でもあるのです。

7. まとめ

認知症になると、

銀行口座が自動的に凍結されるわけではありません。

しかし、

本人の判断能力に問題があると判断された場合、

取引が制限される可能性があります。

その結果、

  • 預金が自由に使えない
  • 介護費用の支払いに困る
  • 成年後見制度が必要になる
  • 家族の負担が増える

といった問題が発生することがあります。

認知症対策は、

認知症になってから行うものではありません。

元気なうちに準備することで、

本人も家族も安心できる環境を整えることができます。

次回は、

「実家が売れなくなる理由」

というテーマで、認知症と不動産の関係について考えてみたいと思います。

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