【認知症になったら何が起きるのか②】実家が売れなくなる理由|認知症と不動産の意外な落とし穴

2026年08月06日

前回は、

「銀行口座は本当に凍結されるのか」

というテーマで、認知症と財産管理の問題についてお話ししました。

認知症対策の相談で、銀行口座と並んで多いのが、

実家や不動産の問題

です。

「施設に入ることになったので実家を売りたい」

「空き家になるので処分したい」

そう考えていても、認知症によって売却が難しくなることがあります。

今回は、

実家が売れなくなる理由

というテーマで、認知症と不動産の関係について考えてみたいと思います。

目次

  1. 不動産の売却には本人の意思が必要
  2. 家族だけでは売却できない
  3. 施設入所で増える実家の問題
  4. 売れないことで発生する負担
  5. 成年後見制度が必要になる場合
  6. 不動産対策は認知症になる前に
  7. まとめ

1. 不動産の売却には本人の意思が必要

不動産を売却するためには、

所有者本人の意思確認が必要です。

売買契約は法律行為です。

そのため、

契約内容を理解し、

自分の意思で判断できる状態でなければなりません。

例えば、

長年住んできた実家を売却する場合でも同じです。

認知症によって判断能力が低下していると、

「本当に本人が理解して契約したのか」

という問題が生じます。

その結果、

不動産会社や司法書士も慎重な対応を取ることになります。

2. 家族だけでは売却できない

多くの方が誤解していますが、

親名義の不動産を子どもが自由に売却することはできません。

たとえ、

  • 同居している子ども
  • 長年介護している家族
  • 固定資産税を負担している家族

であったとしても同じです。

不動産の所有者は親本人です。

家族だからという理由だけで、

代理権が発生するわけではありません。

そのため、

認知症になってから

「実家を売って施設費用に充てよう」

と思っても、

簡単には進まないことがあります。

3. 施設入所で増える実家の問題

近年増えているのが、

親が施設へ入所し、

実家が空き家になるケースです。

誰も住まない家は、

急速に傷みます。

庭の草木は伸びる。

建物は老朽化する。

近隣への迷惑にもなりかねません。

しかし、

売却しようにも認知症によって手続きが進まない。

その結果、

空き家だけが残ってしまうことがあります。

4. 売れないことで発生する負担

実家を保有し続けると、

様々な負担が発生します。

例えば、

  • 固定資産税
  • 火災保険料
  • 修繕費
  • 草刈りや管理費

などです。

さらに、

遠方に住んでいる家族の場合は、

定期的な見回りも必要になります。

本来であれば売却できたかもしれない不動産が、

認知症によって処分できなくなることで、

家族全体の負担が増えてしまうことがあります。

5. 成年後見制度が必要になる場合

認知症によって本人の判断能力が失われた場合、

成年後見制度の利用が必要になることがあります。

成年後見人が選任されると、

本人に代わって不動産売却の手続きを進めることが可能になります。

しかし、

必ず売却できるわけではありません。

後見制度は、

本人の利益を守るための制度です。

そのため、

売却の必要性や合理性について慎重な判断が求められます。

場合によっては家庭裁判所の関与も必要になります。

6. 不動産対策は認知症になる前に

認知症対策で重要なのは、

不動産も含めて考えることです。

預貯金だけ準備していても、

実家の問題が残ることがあります。

例えば、

  • 家族信託
  • 任意後見契約
  • 遺言書の作成
  • 財産の整理

などを元気なうちから検討することで、

将来の選択肢を広げることができます。

認知症になってからでは、

利用できない制度もあります。

だからこそ、

「まだ早い」

ではなく、

「今だからできる」

という視点が大切なのです。

7. まとめ

認知症になると、

実家や不動産の売却が難しくなることがあります。

その背景には、

  • 本人の意思確認が必要
  • 家族だけでは売却できない
  • 空き家問題が発生する
  • 成年後見制度が必要になる

といった事情があります。

不動産は預貯金以上に対策が必要な財産です。

認知症になってから困らないためにも、

元気なうちから将来の方向性を考えておくことが重要です。

次回は、

「施設入所費用はどう払うのか」

というテーマで、認知症になった後のお金の問題について考えてみたいと思います。

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