相続の相談でいちばん多い失敗は、
「税理士に行ったら登記の話ができず、司法書士に行ったら税金が分からない」ことです。
【現場で見た相続の失敗事例⑤】生前贈与が裏目に出た事例|良かれと思った親心が争いの火種になった理由

相続対策というと、
まず思い浮かぶものの一つが
生前贈与
ではないでしょうか。
実際に、
- 子どもの住宅購入を支援する
- 孫の教育資金を援助する
- 将来の相続税対策を行う
といった目的で生前贈与を行う方は少なくありません。
もちろん、
生前贈与そのものが悪いわけではありません。
むしろ有効な相続対策になることもあります。
しかし、
やり方によっては、
その親心が相続争いの原因になることがあります。
今回は、
「生前贈与が裏目に出た事例」
について考えてみたいと思います。
目次
- 事例の概要
- 親は子どもを助けたかった
- 他の兄弟が知らなかった贈与
- 金額ではなく不公平感が問題だった
- 親の善意が誤解を生んだ
- 生前贈与で大切なこと
- まとめ
1. 事例の概要

あるご家庭の事例です。
被相続人は父親。
相続人は子ども3人でした。
父親は生前、
長男に対して住宅購入資金を援助していました。
金額としては決して小さくありません。
しかし、
父親としては特別扱いをしたつもりはありませんでした。
当時、
長男は住宅取得という人生の大きな節目を迎えており、
親として支援したかったのです。
ところが、
相続が始まると、
この援助が大きな問題となりました。
2. 親は子どもを助けたかった

親の立場からすると、
子どもを助けるのは自然なことです。
結婚。
住宅購入。
事業の立ち上げ。
教育費。
人生には大きなお金が必要になる場面があります。
その時に援助したいと思うのは、
親心として当然かもしれません。
この事例でも、
父親は
「困っているから助けただけ」
という認識でした。
将来の相続に影響するとは、
あまり考えていなかったようです。
3. 他の兄弟が知らなかった贈与

問題が大きくなったのは、
他の兄弟がその事実を十分に知らなかったことでした。
相続手続きの中で、
過去の資金移動が話題になり、
初めて詳細を知った兄弟もいました。
すると、
次のような感情が生まれます。
「そんな話は聞いていない」
「なぜ兄だけ支援されたのか」
「自分たちは何もしてもらっていない」
実際には、
親に悪意はありません。
しかし、
情報が共有されていなかったことで、
疑念や不信感が生まれてしまったのです。
4. 金額ではなく不公平感が問題だった

興味深いのは、
争いの中心が金額ではなかったことです。
もちろん、
援助額は重要です。
しかし、
本当に問題になったのは
不公平感
でした。
相続では、
人はお金そのものよりも、
「どう扱われたか」
に強く反応します。
たとえ相続財産が十分にあったとしても、
特定の兄弟だけが優遇されていたように見えると、
感情的な対立が生まれることがあります。
5. 親の善意が誤解を生んだ

父親は、
家族のために行動していました。
しかし、
その思いは十分に伝わっていませんでした。
もし生前に、
「なぜ援助したのか」
「どのように考えているのか」
を説明していたら、
結果は違ったかもしれません。
相続の現場では、
親の善意が誤解されることがあります。
そして、
その誤解が争いへと発展してしまうこともあります。
だからこそ、
お金を動かすこと以上に、
考えを伝えることが重要なのです。
6. 生前贈与で大切なこと

生前贈与を行う際に大切なのは、
公平か平等かという議論だけではありません。
重要なのは、
家族が理解できる状態を作ることです。
例えば、
- なぜ贈与するのか
- どのような意図があるのか
- 将来どう考えているのか
を整理しておくことです。
場合によっては、
遺言書や付言事項などを活用することも有効です。
生前贈与は財産対策ですが、
同時に家族関係への配慮も必要になります。
7. まとめ

今回の事例では、
生前贈与そのものが問題だったわけではありません。
問題だったのは、
親の考えが共有されていなかったことでした。
相続では、
- 生前贈与
- 住宅資金援助
- 教育費支援
- 事業資金援助
などが後に話題になることがあります。
だからこそ、
財産を動かす時には、
家族への説明や将来の整理も重要になります。
相続対策とは、
節税だけではありません。
家族が納得できる未来を作ることでもあるのです。
次回は、
「専門家選びを間違えた事例」
というテーマで、
相談相手によって結果が大きく変わる理由について考えてみたいと思います。
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