空き家=負動産だけじゃない。今、空き家を活かす動きが広がっています

2026年10月02日

最近、知人やお客様とお話をしていると、以前よりも「空き家のリノベーション」という話を耳にする機会が増えてきました。

古い住宅を改修してカフェにしたり、飲食店にしたり、宿泊施設として利用したり。中には、地域の交流拠点や、趣味を楽しむ場所として生まれ変わっている空き家もあります。

そこでよく聞くのが、

「非日常」

というキーワードです。

普段の生活とは少し違う空間で過ごしたい。

古い家の雰囲気を楽しみたい。

海や川を眺めながら食事をしたい。

家族で自然を感じながら一日を過ごしたい。

こうした「非日常」を求めて、人がわざわざ足を運ぶ場所が生まれています。

しかし、ここで一つ重要なことがあります。

いくら魅力的な古民家であっても、山奥に一軒だけぽつんと建っている場所では、誰もが気軽に訪れるわけではありません。

その周辺に海や川がある。

観光スポットがある。

飲食店やカフェがある。

子どもが遊べる場所がある。

そんな「地域全体の魅力」と組み合わさることで、一軒の空き家が「わざわざ行ってみたい場所」になることがあります。

今回から5回にわたり、空き家を「売る・壊す」という視点だけではなく、

「活かす」という視点から、空き家の未来を考えていきます。

目次

  1. 空き家はなぜ「負担」になってしまうのか
  2. 「空き家を活かす」という新しい考え方
  3. 古い家だからこそ生まれる価値
  4. 空き家の価値は「建物」だけでは決まらない
  5. 一軒の空き家から「人が集まる場所」へ
  6. 空き家をお持ちの方に考えてほしいこと
  7. まとめ

1.空き家はなぜ「負担」になってしまうのか

空き家というと、まず「困った不動産」というイメージを持つ方が多いのではないでしょうか。

例えば、親が亡くなり、実家を相続したとします。

子どもはすでに別の場所で生活しており、実家に戻る予定はない。

そうなると、

「誰も住まないけれど、どうしたらいいのだろう」

という問題が生まれます。

家は人が住まなくなると、換気や清掃などの管理が必要になります。庭の手入れもしなければなりません。

固定資産税もかかります。

さらに、建物が老朽化していけば、屋根や外壁などの修繕も必要になります。

「いつか売ればいい」

と思っていても、時間が経つほど建物の状態が悪くなり、管理の負担が増えてしまうこともあります。

そのため、

「空き家をどう処分するか」

という問題になりがちです。

2.「空き家を活かす」という新しい考え方

しかし、空き家にはもう一つの選択肢があります。

それが、

「活用する」

という考え方です。

例えば、

  • 古民家カフェ
  • 飲食店
  • 雑貨店
  • 宿泊施設
  • シェアスペース
  • コワーキングスペース
  • 地域交流拠点
  • 趣味を楽しむ場所

などです。

もちろん、すべての空き家がこうした用途に向いているわけではありません。

建物の状態、立地、周辺環境、交通アクセス、改修費用など、さまざまな条件を検討する必要があります。

それでも、

「この家をどう処分するか」だけではなく、「この家を何かに活かせないか」

と考えることで、選択肢は広がります。

3.古い家だからこそ生まれる価値

新築の建物には、新築ならではの魅力があります。

一方、古い家には、新築にはない魅力があります。

例えば、

  • 昔ながらの間取り
  • 太い梁
  • 土間
  • 縁側
  • 古い建具
  • 庭
  • 地域の歴史

などです。

これらをすべて新しくしてしまうのではなく、残せるものを残しながら現代の使い方に合わせてリノベーションする。

すると、

「古い家」だったものが、「わざわざ訪れたい場所」

に変わる可能性があります。

香川県でも、築80年を超える古民家を海の見えるカフェ・雑貨屋として再生した事例があります。

これは、単に古い家をきれいにしただけではありません。

「古い家」+「海が見える」+「カフェ」+「地域の魅力」

という組み合わせによって、新しい価値を生み出した例といえるでしょう。

4.空き家の価値は「建物」だけでは決まらない

ここが、今回のシリーズで特にお伝えしたいところです。

空き家を活用するとき、

「この家はどんな建物なのか」

だけを見るのでは不十分です。

その家の周りには、何があるでしょうか。

海でしょうか。

川でしょうか。

山でしょうか。

歴史的な町並みでしょうか。

神社やお寺でしょうか。

観光地でしょうか。

あるいは、すでに営業しているカフェや飲食店でしょうか。

例えば、海の近くにある古民家をカフェにしたとします。

食事をした後、家族で海辺を散策する。

近くの店でスイーツを食べる。

子どもが自然の中で遊ぶ。

そんな過ごし方ができれば、一軒のカフェだけが目的ではありません。

「その地域に遊びに行く」

という行動につながります。

つまり、空き家の価値は、その建物だけではなく、

「その場所でどんな時間を過ごせるのか」

によっても変わるのです。

5.一軒の空き家から「人が集まる場所」へ

空き家の活用というと、

「一軒の家をリノベーションして店にする」

というイメージがあるかもしれません。

しかし、もっと大きな可能性もあります。

一軒の古民家をカフェにする。

その周辺に雑貨店がある。

近くには海がある。

別の場所には宿泊施設がある。

そして地域の人たちが、それぞれの場所でサービスを提供する。

そうなれば、

一軒の空き家の再生が、地域全体の魅力につながる

可能性があります。

国も空き家を地域の資源として活用し、交流や観光、地域活性化につなげる取り組みを進めています。

空き家問題は、「家をどうするか」という不動産の問題だけではありません。

「その地域をこれからどうしていくのか」

という問題でもあるのです。

6.空き家をお持ちの方に考えてほしいこと

もし、皆さんのご家族に空き家があるなら、いきなり「売る」「壊す」と決める必要はありません。

まず、次のことを考えてみてください。

この家は、どんな場所にあるでしょうか?

周りには何があるでしょうか?

この家だからこそ残せる魅力は何でしょうか?

どんな人なら、この場所を楽しんでくれるでしょうか?

そして、

「この家には、どんな未来があるだろう?」

と考えてみてください。

もちろん、活用することが必ず正解とは限りません。

売却した方がよい場合もあります。

賃貸が適している場合もあります。

解体した方がよい場合もあります。

大切なのは、

その空き家に合った選択肢を考えること

です。

7.まとめ

空き家は、何もしなければ負担になってしまう可能性があります。

しかし、見方を変えれば、

地域の新しい価値を生み出す場所

になる可能性もあります。

「古いから価値がない」のではありません。

「誰も住んでいないから終わり」でもありません。

その家の歴史。

その家から見える景色。

周辺の自然。

地域のお店。

そこで過ごす時間。

そうしたものを組み合わせることで、空き家に新しい役割が生まれることがあります。

もちろん、すべての空き家をリノベーションすればよいわけではありません。

だからこそ、

「売るのか、貸すのか、活かすのか、壊すのか」

を、感情だけでなく、建物・立地・費用・地域の状況などを含めて考えることが大切です。

空き家は、過去に誰かが暮らした「古い家」です。

しかし同時に、

これから誰かの新しい人生や、地域の新しい物語が始まる場所

になるのかもしれません。

次回は、空き家活用でよく聞くキーワード、

「非日常」

について考えてみます。

なぜ人は、わざわざ古い家を訪れるのでしょうか。

そして、「非日常」をつくるためには、建物以外に何が必要なのでしょうか。

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