相続の相談でいちばん多い失敗は、
「税理士に行ったら登記の話ができず、司法書士に行ったら税金が分からない」ことです。
公正証書遺言が向いている人とは?|“安心できる遺言”を選ぶための考え方

「遺言を書くなら、公正証書遺言がいいですか?」
相続相談で非常に多い質問です。
前回の記事では、
自筆証書遺言で失敗する人の共通点
について解説しました。
確かに、
自筆証書遺言は手軽です。
一方で、
形式不備
内容不備
紛失
家族トラブル
のリスクもあります。
そこで選択肢になるのが、
公正証書遺言
です。
ただし、
「みんな公正証書遺言にすべき」
という話ではありません。
実際には、
向いている人・向いていない人
があります。
今回は、
公正証書遺言が向いている人
をテーマに、
司法書士の実務視点からわかりやすく解説します。
目次
1.公正証書遺言とは何か
2.自筆証書遺言との違い
3.公正証書遺言が向いている人
4.実務上「公正証書が安全」と感じるケース
5.公正証書遺言の注意点・デメリット
6.未来設計(相続・生前対策)としての遺言選び
7.まとめ|大切なのは「自分に合った遺言」
1.公正証書遺言とは何か

公正証書遺言とは、
公証役場で、公証人が作成する遺言書
です。
本人が希望内容を伝え、
法律専門職である公証人が、
法律的に整った形で文書化します。
特徴として、
"法的安全性が高い"
ことがあります。
また、
原本は公証役場で保管されるため、
紛失や改ざんリスクも低くなります。
つまり、
「ちゃんと残したい」人向けの遺言
とも言えます。
2.自筆証書遺言との違い

まず大きな違いは、
"安心感"
です。
自筆証書遺言では、
本人が書くため、
形式ミスが起こることがあります。
一方、
公正証書遺言では、
公証人が作成するため、
形式不備による無効リスクが極めて低い
特徴があります。
また、
亡くなった後の違いもあります。
自筆証書遺言は、
原則として、
家庭裁判所の検認
が必要です。
しかし、
公正証書遺言は、
検認不要
です。
つまり、
相続発生後の手続きが比較的スムーズになります。
特に、
相続人が県外にいるケースでは、
大きなメリットになることがあります。
3.公正証書遺言が向いている人

では、
どんな人に向いているのでしょうか。
実務上、
次のような方は、
公正証書遺言との相性が良い
と感じます。
(1)不動産がある人
香川県・徳島では、
相続財産の中心が、
実家・土地
というケースが多くあります。
不動産は分けにくいため、
相続トラブルになりやすい財産です。
だからこそ、
"誰に何を承継させるか"
を明確にする意味があります。
(2)家族構成が複雑な人
例えば、
- 再婚家庭
- 子ども同士が疎遠
- 子どもがいない夫婦
- 相続人が県外在住
- 内縁関係がある
など。
家族関係が複雑になるほど、
相続後の解釈違いが起こりやすくなります。
そのため、
"明確な意思表示"
が重要になります。
(3)家族仲に少し不安がある人
「仲が悪いわけではない」
でも、
少し気になる
ケース。
実は、
こういう家庭こそ重要です。
なぜなら、
相続は、
"感情"が動く場面
だからです。
「介護をした」
「近くに住んでいた」
「親と同居していた」
など、
不公平感が生まれることがあります。
公正証書遺言は、
そうした対立予防にもつながります。
(4)確実性を重視する人
「後で揉めてほしくない」
「ちゃんと残したい」
という方。
こうした考えの方には、
非常に相性が良い制度です。
4.実務上「公正証書が安全」と感じるケース

司法書士実務では、
「最初から公正証書にしていれば…」
と思うケースがあります。
例えば、
自筆遺言が複数見つかった。
字が読めない。
内容が曖昧。
本人意思が争われた。
こうした問題は、
公正証書遺言なら、
比較的起こりにくいです。
また、
認知症リスクもあります。
遺言には、
判断能力
が必要です。
「いつか書こう」
と思っている間に、
認知症が進行すると、
作成自体が難しくなる場合があります。
だからこそ、
"少し早い"準備
に意味があります。
具体的には、日本人の健康寿命の平均が75歳であることを考えると、70歳ぐらいには動いた方がいいということになります。
5.公正証書遺言の注意点・デメリット

もちろん、
万能ではありません。
注意点もあります。
(1)費用がかかる
公証人手数料が必要です。
ただし、
「揉めるコスト」
と比較すると、
高くないと感じる方も多いです。
(2)証人が2名必要
作成時に証人が必要です。
ただし、
専門家が対応するケースもあります。
※公証役場にお願いすれば、準備していただけます。
(3)内容設計が重要
公正証書なら安心、
ではありません。
内容が不十分なら、
問題は残ります。
つまり、
"何を書くか"が本質
です。
6.未来設計(相続・生前対策)としての遺言選び

アイリスが提唱する、
未来設計(相続・生前対策)
では、
遺言を、
"家族が困らないための準備"
と考えています。
つまり、
大事なのは、
「どの方式が正しいか」
ではありません。
「自分の家族に合っているか」
です。
家庭事情。
実家問題。
空き家リスク。
介護負担。
相続人関係。
それぞれ違います。
だからこそ、
オーダーメイドの設計
が必要なのです。
7.まとめ|大切なのは「自分に合った遺言」

公正証書遺言は、
非常に安心感のある制度です。
特に、
- 不動産がある
- 家族構成が複雑
- 少し不安がある
- 確実に残したい
という方には、
向いている可能性があります。
一方で、
大切なのは、
「方式」そのものではありません。
本当に重要なのは、
"家族が困らないこと"
です。
遺言とは、
財産分けだけではなく、
家族への最後の思いやり
なのかもしれません。
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