相続の相談でいちばん多い失敗は、
「税理士に行ったら登記の話ができず、司法書士に行ったら税金が分からない」ことです。
【認知症になったら何が起きるのか③】施設入所費用はどう払うのか|預金があるのに困る家族たち

前回は、
「実家が売れなくなる理由」
というテーマで、認知症と不動産の問題についてお話ししました。
認知症対策の相談を受けていると、
ご家族が最も心配されることの一つが、
施設入所費用
です。
介護施設への入所が必要になった場合、
月額十数万円から数十万円の費用が発生することもあります。
そして実際の相談では、
「親に預金はあるのに、そのお金が使えないかもしれない」
という問題に直面することがあります。
今回は、
施設入所費用はどう払うのか
というテーマで考えてみたいと思います。
目次
- 施設入所には想像以上のお金がかかる
- 本来は本人の財産から支払うもの
- 家族が自由にお金を動かせるとは限らない
- 預金があるのに支払えないケース
- 成年後見制度が必要になる場合
- 認知症になる前の準備が家族を助ける
- まとめ
1. 施設入所には想像以上のお金がかかる

認知症が進行すると、
在宅介護が難しくなることがあります。
その結果、
介護施設への入所を検討するご家族も少なくありません。
施設の種類によって異なりますが、
毎月の利用料に加えて、
食費
居住費
医療費
日用品費
などが必要になります。
また、
入所時にまとまった費用が必要になる場合もあります。
そのため、
介護が始まる前から資金計画を考えておくことが重要です。
2. 本来は本人の財産から支払うもの

施設入所費用は、
基本的には本人の財産から支払います。
預貯金。
年金。
不動産の売却代金。
こうした本人の財産を活用して生活を支えていきます。
ご家族の中には、
「子どもが払わなければならない」
と思われる方もいますが、
まず使われるべきなのは本人の財産です。
問題は、
その財産を誰がどのように管理するかです。
3. 家族が自由にお金を動かせるとは限らない

多くのご家庭では、
親の通帳を子どもが預かっていることがあります。
そのため、
「必要になれば引き出せる」
と考えていることも少なくありません。
しかし、
認知症によって本人の判断能力が低下すると事情が変わります。
法律上、
預金は本人の財産です。
家族だからという理由だけで、
自由に管理できるわけではありません。
銀行が本人の認知症を把握した場合には、
取引が制限される可能性もあります。
4. 預金があるのに支払えないケース

実際の相談で見られるのが、
「親に預金は十分ある」
にもかかわらず、
施設費用の支払いに苦労するケースです。
例えば、
施設入所が急に決まった。
銀行手続きが進まない。
不動産売却もできない。
こうした状況になると、
一時的に家族が立て替えることもあります。
本来は本人のお金があるにもかかわらず、
使えない状態になることがあるのです。
これは認知症対策が必要とされる大きな理由の一つです。
5. 成年後見制度が必要になる場合

本人が自分で財産管理を行えなくなった場合、
成年後見制度の利用が必要になることがあります。
成年後見人等が選任されると、
本人に代わって施設費用の支払いや財産管理を行うことができます。
ただし、
後見制度は本人の財産を守る制度です。
自由な相続対策や財産移転を行う制度ではありません。
そのため、
認知症になる前と後では、
できることに大きな違いがあります。
6. 認知症になる前の準備が家族を助ける

認知症対策は、
本人だけの問題ではありません。
実際には、
家族の負担を軽減するための準備でもあります。
例えば、
- 家族信託
- 任意後見契約
- 財産の見える化
- 遺言書の作成
などがあります。
こうした仕組みを整えておくことで、
施設入所が必要になった場合でも、
慌てずに対応しやすくなります。
「まだ元気だから大丈夫」
ではなく、
「元気な今だから準備できる」
という視点が大切です。
7. まとめ

認知症になり施設入所が必要になると、
大きなお金が動くことがあります。
しかし、
本人の判断能力が低下していると、
- 預金が自由に使えない
- 不動産が売却できない
- 家族が立て替える
- 成年後見制度が必要になる
といった問題が発生することがあります。
施設費用の問題は、
介護が始まってから考えるものではありません。
元気なうちから準備しておくことで、
本人も家族も安心して将来を迎えることができます。
次回は、
「成年後見制度の現実」
というテーマで、認知症対策としてよく利用される成年後見制度のメリットと課題について考えてみたいと思います。
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